パラドックスガール
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「めーいこ。」


教室の後ろのドアが開くのと同時に、玲央があたしを呼んだ。
その瞬間、付近にいた女子が顔を赤く染め、黄色い声を発する。
あたしは頭を抱えて、盛大にため息を吐いた。


「茗子、今日暇?
帰りに楽器屋寄りたいんだけど。」


周りの変化に気づいてないのか、それともわざとか、こいつはそう言いながらあたしのほうに寄ってくる。


「…玲央、わざわざ来なくていいって言ってるでしょ。」


「僕が会いたいんだって前言ったでしょ。」


「…はぁー。」


あたしはまたため息を吐いた。
そしてじっと玲央の顔を見る。


「茗子?」


不思議そうにあたしの名前を呼ぶこいつ。
成績いいし、運動できるし、顔いいし、何気にフェミニストだし。
周りがきゃーきゃー言うのはわかる。わかるけど。


「あたしに火の粉まき散らすのやめて。」


こうやって注目されるのは、はっきり言って迷惑だ。



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