花火の日
 「全然嬉しくない。もういいよ」

 小声でこう告げて、みさこは急にその場を立ち去った。
 
 
 ふいなことで、引き止める言葉も出てこない様子のたくや。ただ呆然として、彼女の背中を見つめるだけ。
 
 
 「もう俺のこと、好きじゃないのかな」

 結局その後、二人は顔を合わすことなく家路に着いた。
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