家族の時間
早風高校の校庭に合格者の番号が張り出された。
志穂と香苗は、自分の番号を探した。
「あった!!か…香苗は?」
志穂は香苗の方を向いた。
「あった!!受かった!!志穂、やった!!」
二人で抱き合った。
「おばさん心配してるから、連絡するね。」
「私も、お母さんに電話しよう。」
二人は携帯で電話をはじめた。
「帰ろうか。」
香苗が言った。
志穂と香苗は、最寄り駅に歩き始めた。
駅の手前で香苗はふらふら歩く人を見た。
「志穂、あの人、志穂のいとこじゃない?」
志穂は香苗の指差す方を見た。
そこには、いとこの石川美奈子(いしかわみなこ)と吾郎(ごろう)が歩いていた。
志穂は声をかけた。
「美奈子ちゃん!」
志穂の声に、美奈子と吾郎がびっくりして振り返った。
美奈子は志穂の顔を見ると泣きだした。
志穂と香苗は、美奈子達のところに走った。
「美奈子ちゃんどうしたの?」
泣きじゃくる美奈子を志穂と香苗が見ていた。
「お姉ちゃん…」
吾郎は美奈子の手をギュッと握った。
「渉あんちゃんのところに行こう。」
駅の近くの五十嵐動物病院の事を志穂は思い出した。
「香苗、ごめん。渉あんちゃんの所まで一緒に行って。」
香苗は志穂の言葉に頷いた。
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