家族の時間
今日は朝から不吉だった。
あかりは寝る前に思い返した。
朝は遅刻はするし、患者さんを怒らすし、ついてない。
最後のが最大だった。
あかりにとって最悪な日だった。


和宏とレストランであかりは夕食を共にしていた。
結婚式まであと2ヶ月を切っていた。
「あかり、君の母親を捜して結婚式に招待した。」
デザートを食べているときに和宏が急に言った。
「私はお母さんいるわ、家にいるわ。」
「あかり、生みの母親だよ。」
和宏はあかりを見た。
あかりは顔をあげない。
「私には、家にいる母さんが母さんよ。たった一人しかいない!」
あかりはフォークをおいた。
「そいつが何者か知らない。」
「あかり、君を生んでくれた母親だよ。」
「あの女は母親なんかじゃない!!どうして勝手なことするの。」
あかりは鞄から財布を出し、一万円をテーブルの上においた。
「あの女が来るくらいなら、結婚式はなしよ。和宏、これも返すわ!!」
あかりは指から婚約指輪をとり、テーブルにおいた。
「あかり、なんで?」
「さよなら。」
そういうとあかりは走ってレストランを出た。
そしてすぐにタクシーを止めて乗り込み夜の街へ消えて行った。
和宏がもたついている間に、あかりはいなくなった。
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