あくまで天使です。


一息で説明し、私は大きく息を吸った。


顔を上げられず、膝元の握りしめられた手を眺める。


重い沈黙がリビングに侵食する。


「………顔をあげなさい」


柔らかで優しげな声が前方からかけられた。


慈悲を求め、それを承諾する女神のような声音で。


私は一欠けらの希望と抱き、恐る恐る顔を上げた。すると―――


「ぶへっ!」


中身の入っていないコップが飛んできた。


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