あくまで天使です。


「よぅ。寝ぼけた顔してんじゃねぇか」


長い脚を組み、コーヒーをすすり朝日を浴びている黒長髪の男が椅子に座っていた。


ぎょっと眼を見開き後ろへ一歩逃げる。


「だっ誰あんた!」


「はぁ?まだ脳みそは寝てんのか?」


ずずずっと美味そうに啜ると


「お前を幸せにする天使、べリアル様だよ」


その一言ですべて思い出した。思い出したくもない記憶の扉をこじ開けられたようだ。


「ゆっ夢じゃなかったんだ………」


「おいなんで落ち込む?なんで肩を落とす?」


昨夜の記憶をゴミ箱ファイルに捨ててしまいたい。私が憂鬱になっていると彼はイライラと私の名を呼んだ。


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