あくまで天使です。
声の主を探してみると、べリアルが得意げな顔で右手を高々と上げていた。
ざわりっとまたもや騒がしくなる。
私は愕然とし、凛々しい容貌の彼を凝視した。
その視線を受け取ったべリアルが少しだけ白い歯をこぼし、迷うことなく教壇へ早歩きでたどり着いた。
じっと黒板につづられた難攻不落の問題文を一瞬見て、余った空白のところに白チョークの先をつける。
書き方は雑なくせに、結構整った字で記述していく。
「えーこれは科学式でZn+Cl=ZnCl2+500.1となって~」