お姫様だっこ



どうした?って顔で研があたしを見てる。




何て言ったらいいか分からなくて黙ってると



菜帆が先に口を開いた。



「さっきね廊下で、そのリオって子が美優に近付いてきてね。『研くんはリオのものですから』とか言ってきたの!!まじムカついた!」






「……ほんとか?」



俯いてるあたしに研が聞いてきた。





あたしは小さく頷く。








「はぁっ…」



研から溜め息が漏れた。






「梨央の事は気にすんな。勝手に言ってるだけだ。昔からそうなんだよなぁ…兄チャンみたいなもんだからさ。アイツ一人っ子だから。そのうち飽きるだろ」





「でも…凄く真剣だったよ?あれは恋してる目だよ」





我慢できなくて言ってしまった。




なんか…怖かったんだ。
あの瞳が。
真剣すぎて…。







「美優、気にしすぎ!!」



研の腕があたしを抱き寄せる。





「うん…」



菜帆もマダ納得してないようだった。





「じゃぁ研、あの子に近付いちゃ駄目だからね!?」



菜帆がそう言うと




研は




「あー…」



と言葉を濁した。
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