お姫様だっこ
「美優…だよな?」
この声は……
この優しい声は…
顔を上げた。
そこに立っていたのは
あたしの
大好きな…
大好きな…
「け…ん…」
あたしはその場に泣き崩れた。
目の前に研がいる。
それだけで幸せだった。
もぅ、限界がきてたんだ。
自分でも気付かないくらい限界だったんだ。
泣き崩れるあたしを研は抱えて立たせようとする。
でも力が入らない。
立てないよ…。
すると、研が
「のれ」
そう言ってしゃがんでコッチに背中を向けている。おんぶしてくれる格好で。
「早く!置いてくぞ?」
あたしは急いで研の背中に飛び乗る。
置いていかれるのは嫌。
研が他の人のものになったとしても…
傍に居られるのならそれでいい。
例え、恋人としてじゃなくても……
2人でずぶ濡れになった。
「仕方ない。…ここ入るぞ?」
そこは
ラブホテル。
ずぶ濡れのままホテルへ入った。