お姫様だっこ



ガラッ―。



「保健の先生いねぇのか」



研があたしをベッドに寝かせてくれた。


優しく、そっと。






「寝るか?」




あたしは首を横に振った。



「そっか」







沈黙が続いた―…








研が悲しそうな目でコッチを見てた。




「少しは落ち着いたか?」

「うん…」






その時…研が頭を撫でてくれた。


そぉっと壊れ物を扱うかのように。



菜帆よりも暖かい研の手。



「ごめんね、研。運んできてくれて嬉しかった。ビックリしたけど」




頑張って笑ってみた。


でも作り笑いってバレた。当たり前か。


「無理して笑うな。話せるようになったら話してくれるか?」





また涙が溢れた。


「うん。もう少し落ち着いてからでいい?」




研は頷いてマタマタ優しい笑顔であたしを見つめる。



ドキドキ高鳴る心臓。






「ねぇ、研?」

「んっ?」



あたしは勇気を出して言ってみた。






「手…握ってもらっていい?」




言った後、顔が熱くなるのを感じた。










ギュッ。





「これでいいか?」


「ありがとう…」




力強くあたしの手を握ってくれた。






凄く安心した。






何でも話せる気がしてきた。






「ふぅ……。」



息を吐いて、落ち着かせて…



「あのね…」









研の手がピクッと動くのがわかった。









あたしは頑張って話し始めた――…
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