愛されたかった悪女
「ハヤトがあの子に殴られるなんてことないでしょう?あの子の力では痣にならないわよ」


「あぁ 僕もそう思う 何かあったんだろうね でも詳しく話してくれないからお手上げだよ」


ランチの時の様子を言うのは、やめておこう。


まるで新婚ムードだったな。


「観光っていったいどこに?」


「知ったら追いかけるんだろう?もうとっくに出発しているし、どこへ行ったのかは分からないよ」


「何てことなの……」


私はぐったりとソファーに身を沈めた。


「もうちょっと、彼らを見ていなきゃダメよ ジョン」


昨晩、何があったのかわからないのはジョンのせい。


私は八つ当たりをするようにジョンに冷たく言っていた。


ジョンは肩をすくめただけだった。


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