愛されたかった悪女
「ええ、嘘よ。癪に障ったからいたずらしたんじゃないわ。貴方を愛しているから、貴方が欲しいから……仕事をキャンセルしてまでカンクンへ行ったの」


私は立ち上がると、ハヤトの隣に座った。


膝頭が付きそうなくらいに座り、ハヤトを見る。


「愛している?それは違う、最初にお前が言った通り、俺がお前を振った最初の男だからだ」


「違うわ!本当に愛しているの!貴方の為なら仕事を今すぐ引退するわ!」


私はハヤトに抱きついた。


「やめろ!お前にはあの汚い世界が似合っている」


ハヤトの言葉に愕然となった。


汚い世界……。


ええ、そうよ。あながち間違っていないわ。


仕事を取るためなら寝ることも厭わない人もいる。


「私が汚れているとでも言いたいの?さんざん、私を愛しておきながら汚れているって?」


ハヤトの言葉がショックだった。


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