Poison Music
第一章
「しっかりしてよ‥智也!!」

突然の交通事故。
私をかばって自ら大型トラックに身を捨てた貴方。
それが最後のライブだと知らず。

夜方、ツアーの最終日終了後のことだった。
賑やかな都心のある通りを歩いていた。
誰にも気付かれないように変装をしていた。
けど、最近の女子高生は感が鋭く、あっさり囲まれてしまった。
智也は明るく振る舞い、サインをしていた。
私は表面だけ笑っていた。

poison music、それが私たちのバンド名。
毒のような歌、それが目標で一緒に組んで五年目。
その三年間、努力してここまで上り詰めた。
智也の歌があったから私はギターを奏でられた。

「じゃあ急いでるから。続きはライブで会おうぜ」

智也はそう言って、私の腕を掴んで人混みから出た。
否定するような言葉を出すファン達。
何故か私はそのファンの一人に突き飛ばされた。

「麻衣!!」

立ち上がろうとした瞬間、目の前には大型トラックが走行していた。
逃げらんない。
すると、智也が私をその場から抱え上げてきた。
所々、叫び声が聞こえた。

「智也‥!?」
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