spiral

不思議と震えがおさまってくる。

「じゃ、質問変えるよ。どうして俺にそんなこと告白したの」

「告白?」

告白と聞いて、どうしても男女間のことしか浮かばない。

「うん。だって内容的に、簡単に話せることじゃないでしょ」

「それは」

あなたなら傷つけてもいいかなって思ったなんて言えない。

「すこしは信用してくれてるって思ってもいいのかな」

「それも」

何て言えば納得させられるのか分かんない。

「じゃあ、なんとなく?」

「……」

ごまかせるような言葉が浮かばない。どうしよう。

言葉に詰まったまま黙っていると、「ま、いっか」といい、奥の部屋に行ってしまった。

「あ」

なんでか立ち上がって、いなくなった部屋の方に数歩進んでしまう。

追いかけようとした?あたし、今。

「なんで?」

奥の部屋に行ったものの、本当に人がそっちにいるのかと思えるほどに静か。

(なんか、一人でいるみたい)

静かすぎる部屋は嫌だ。

長いこと住んでたあの場所。そこで起きたこと。

いまだに首周りに、なにも巻けないあたし。心の傷。

味気ないご飯。触れられないママの心。

思い出したくなくても、容易に思い出せてしまう。

独りを思い出すのは嫌だ。知らず知らずに呼吸が早くなっていく。

「は……っ、はっ」

手をつき、四つん這いになる。

ダメ。苦しくて、自分を支えていられない。

「ママ……」

フラッと床に崩れ落ちそうになったその時、

「マナ!」

あたしを呼ぶ声と、たくましい腕。

酸欠になったあたしにかけられた言葉は、

「なぁんで、助けてって呼ばないの?……バカだよ、ホント」

袋で口と鼻を覆い、また呼吸する。

眩む頭で考えられたことは、やっぱりあたしはバカなの?なんてことだった。

< 69 / 221 >

この作品をシェア

pagetop