光の射す方へ
試練
寒い寒い冬の日だった。私は何気ない普通の毎日を送っていた。

その日は特に寒い日だった。私は夜勤をしていた。そのフロアにはスタッフは私一人しかいなく忙しく勤務に精を出していた。


夜勤中はなかなか携帯電話を見ることが出来ない。深夜0時を過ぎたころ、ふと携帯電話を見た。
ー公衆電話ー

無数に入る着信履歴。

イヤな予感がした。
それは数日前のことだ。久しぶりに実家に帰った。兄の様子がおかしかった。兄は言わば父親がわりに威厳があり、明るくおもしろい。少し怖いが大好きだった。その兄の様子がおかしい。数ヶ月前、何年も仕えてきた仕事を辞め、今は違う仕事をしてると聞いた。

何か心にひっかかるが私は実家を後にした。


公衆電話という文字とそのひっかかる感じが妙にマッチして、ブランド越しに窓の外を覗いた。
雪がチラついていた。

空から舞い散るこの白い物体は時に心躍り、時にロマンチックに演出してくれた。しかし今日の物体は何か私をあざ笑っているような…そんな気がした。

『お前なんかに普通ができるもんか』

天の声が聞こえた。


ブーブーブー

バイブが揺れた。ー公衆電話ー
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