光の射す方へ
決意
2人はまるで出口のない迷路をひたすら走っているようだ。ゴールがあるのかもわからない、右か左かどっちが正しいのかも。


アズサちゃんと離れ離れになってから2年が経とうとしていた。私たちは最初は頻繁に連絡をとっていたが、だんだん少なくなり、やがて途絶えた。

お互い現状を報告しあえるような生活をしていなかった。そんなある日、アズサちゃんの東北の祖母から私宛てに手紙がきた。
「アズサが悪さばっかりして困っている。家に帰ってこない日が増えて、心配だ。アヤちゃんから何とか言って欲しい」

なんと愛情に溢れた手紙だろうかー 手紙の最後にはこう締めくくられていた。

「あの子は不幸な子だから…」

私はこの手紙を見て思った。

不幸って何?!


私はなんだか、今までにない悔しさが込み上げてきた。
大人たちは私たちが不幸だから髪を染めていると思っているの?
不幸だから家出するの?
不幸だから…

私は手紙がグチャグチャになるまで机に叩きつけた。涙も加わり手紙は跡形もない。

一晩泣いた。こんなに感情が出たのは初めてだった。私の中で「無」では済ませれなかったのだ。

私は決意した。「普通」になることを。


「あの子は片親だから」「あの子は苦労してきたから」
「あの子は孤独だったから」
「あの子は不幸だから」
二度と誰にも言わせない! 言わせるものか!!
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