SWeeT†YeN
lieben~愛~
短い題名がついた
柔らかく暖かい曲だ。
大まかに三部で構成されている。
一部は美しい音色で人を惹き付けるお母様のように
二部は軽快なリズムで進んでいく柏原は、「茉莉果お嬢様のようです」と言ってくれている。
主体の三部は一部と二部のメロディが複雑に混ざり合い……何故か少し寂しい音色が混ざり
最後は、独特の柔らかなメロディで終わるのだ。
久々に人前で演奏する舞台。私は、頭が真っ白になってしまっていたけど、必死に譜面を追いかけた。
お母様は、慎重に私の音を聞き分け絶妙なタイミングで良い音をくれる。
やっぱり才能が全然違うのよ。
親子なのに皮肉なものね?私にはこんな才能なんてないわ……
でもこの曲、私のパートは簡単に作られている。
お父様はよくわかっているんだわ。
私には音楽の世界に通用する力がないことを
最後の一音が消えた瞬間。
わぁっー!
ブラボー!
という会場からのすごい歓声と拍手の嵐に、安堵のため息が漏れた。
終わったわ……
うまく誤魔化せたわ……