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「紫音家の優秀な使用人は誰かな?」


「紫音家の最高の使用人は柏原よ」


陽子さんがいる前で断言してやったわ!
あー、爽快!

うちの一番優秀な使用人は、柏原よー!


「そう、だから使用人トレードしないか? お互いの生活を知る上でも一番親密に接している使用人を交替する」


「柏原!」

「はい、お嬢様」

「どういう事かしら?」



ガクッと脱力する執事を、じっと見つめる。

なんだか少しだけ嫌な予感がする。


「あはは! 可愛い。茉莉果ちゃんって天然だね! そこがまた可愛いけど」


笑う竜司は、すごく楽しそう。

「申し訳ございません」と頭を下げる陽子さんは、さっきから落ち着きがない。

お姉さんコアラを見習いなさいよ。全然動かないわよ。


柏原は、少し首を傾げてから私の前で膝をつき、最敬礼の姿勢で頭を低くした。


「暫くの間、私が竜司様の執事となり。あの方が、お嬢様をお世話いたします」

「なんのために?」


「旦那様が決めた事ですので……理由は問わずに、私は従います」


「嫌よ!」


「お嬢様……」


「お嬢様! 旦那様は竜司様を、幼い頃からよく存じていますし……結婚相手には申し分ないとおっしゃられています」


また陽子さんが私たちの間に割って入ってきた。

本当に図々しいっ!
あんた邪魔なのよっ!
私は柏原と話てるの!



「茉莉果ちゃん、ちょっと庭園案内してくれる? 二人で話そうか?」


「あっ! ちょっと待ってよ竜司!
私、柏原と話したいのよ!」


グイッと手を引かれて、私は引き摺られるように庭園へと繋がるテラスに出た。



「綺麗な庭だね。僕はここが好きだよ」




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