SWeeT†YeN
「柏原は、買い物よ。今は、柏原の家にいるの。ルールを破ると、ベットで縛りつけられちゃうのよ。ふふふ♪」
一人で寂しい山荘で、こうして話相手がいて冗談を言い合えるなんて……ちょっと勇気付けられる。
所詮元コアラだけど、声が聞けてよかった。
私、今ちょっとナーバスになってる。
『ベベベベットで……縛りっ!?』
電話の向こうで、ドンガラガッチャーンとけたたましい音が聞こえてきた。
騒々しいコアラね?
『すぐに迎えに行くよ! 茉莉果ちゃんは使用人に見つからない場所に隠れていて!』
「まあ、かくれんぼね? 私、得意よ。捜索願い出された腕前よ!」
『それはよかった!』
「じゃあ、待ってるわ。探してみてね? バイバイ竜司」
『えっー!? ちょっと! 待って!! 切らないで!』
ふふふ♪
ダメよ。ヒントは、あげないわ♪
ああっ、でもヒントをあげようにも……私も此処が何処なのかよくわからないもの。
ぷつっ、と途絶えた通話。
すると辺りは、また静寂に包まれた。
「あら、やっぱり寂しい……」