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お譲様と友情



「────おはようございます。お目覚め加減いかがでしょうか?」


 特注で作ったドレープがたくさんかかった重厚なカーテンを開けながら、皺一つない漆黒の燕尾を翻しながら私のベッドサイドにゆっくりと歩み寄る……その執事。


「最悪の気分よ」


 ついに見せた暗黒執事の本性を私は昨夜垣間見てしまったのだ。



 もう騙されないから!

 別に騙されてたわけじゃないけど、なんとなくもう騙されないから! って気分よ。

 昨夜みたいに何時執事が襲いかかってきてもいいように身構える。


 だけど柏原は人を馬鹿にしたような短いため息をついただけ。



「何を期待されているのですか……お嬢様に一つだけ、教えて差し上げましょう」


「何よっ!」


「お嬢様が、もう少し豊満なスタイルでしたら何か間違いが起きていたかもしれませんね。残念ながら」


 柏原は私の胸元に目線を落とし大きなため息をついた。



「なんて失礼な……! 私の胸がないって意味ね!」

「いえ、別に……」


 酷すぎるわ性悪変態暗黒執事だわ!




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