透明な日々に色を
一枚の扉のむこう
ピンポーン


今何時だろう

右手を伸ばし
赤く丸い形の目覚まし時計、

文字盤の6のところに茶色いクマが座って首を傾けてる絵がついた子供じみた時計を薄くあけた目元に持ってくる

8時か

ピンポーン


誰だ

休みくらいゆっくり寝かせて欲しいもんだ

はーい

明らかに寝起きの声で返事をして、迷惑そうにのんびりとベッドを降りる

ピンポーン


はいはい。

とつぶやき、玄関の鍵をはずす

重たそうなグレーのドアを半分ほどあけると冷たい空気が隙間から一気に入ってくる

冷たさで目を細めてドアの向こうを覗くとうっすらと栗色というべきか茶色い、少しうす茶色の髪の毛の女性がいる

「起こしちゃった?」

その女性は少しあけたドアをつかみグッとあけ、
その勢いで僕はドアノブに置いた手から腕へとガタンと体勢を崩す

「久しぶり!突然なんだけどしばらく置いてくれないかな?」

「は?」

栗色の髪の女性は口角をあげ、微笑みながら言った。

寝起きの僕の思考回路がやっと正常に動き始めた

この栗色の女性は・・・

「ナナセ」

「えー今思い出したの?」

「どうして?」

ドアノブを握ったまま僕はまだ夢を見てるのか?

「とりあえず寒いから入れて!」

現実だ

ずっと口角をあげたまま僕を見つめる栗色の女性



僕の元彼女
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