先生と教官室2〜新しい道〜
目を閉じるとそこは真っ暗で、当たり前のように何も見えない。
さっきまで夢の中だった私は、目を閉じると今すぐにでも、もう一度夢の中へと戻れそうになる。
もう少し。
あとほんの少しで深い夢の中…。
そう思っていた私の頭の上に、なにか暖かいものが優しく触れた。
「伊緒…って、まだ寝てるかぁ…。」
微かな夢と現実が入り乱れる。
今の声は、もしかして先生?
それとも、私の夢の中の声?
「……伊緒。」
もう一度、私の名前を呼ぶ声。
それと、私の頭に触れ、撫でている暖かいもの。
それは、まぎれもない先生の大きな手。
私の大好きな、先生の手…。