一番星の愛情物語
「じゃ、帰りますから。また明日」

操さまは、再びロッカールームに戻り、手早く着替えました。

ロッカールームを出ると、入り口に日ノ出弥彦と今朝、操さまを助けた男性が立っていました。

「あっ!今朝はありがとうございました」

操さまは、開口一番、頭を下げました。

「壱星部長、頭を上げて下さい。今日はたまたまですから。改めて紹介します。兄の和彦(かずひこ)です」

操は、マジマジと日ノ出(和彦)を見上げました。

日ノ出(和彦)は、苦笑した。

「弥彦とは似てないだろ?俺は母親に似てて、弥彦は父親に似てるからな」

操さまは軽く頷きました。

「それで、お礼なんだけど。鍋でも食べに行かないか?行きつけの店で悪いけど」

「え、ええ。勿論です」

「壱星部長の帰りが遅いといけませんし。ちょうどこの近くにあって」

日ノ出(弥彦)が説明した。

操さまは、フンワリと笑顔を向けました。

「ありがとうございます」

日ノ出(弥彦)さまは、頬を赤く染められ、笑顔を向けました。

「じゃ、行くか」

日ノ出(和彦)も軽く口元を緩めて、歩き始めました。
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