解ける螺旋
不思議で仕方がない。
だけど健太郎の事を好きだったのかもしれないと思ったら、そのきっかけになる出来事が頭の中で生まれて行く気がする。
健太郎への想いを自覚すべく、新たな記憶が刻み付けられて行くみたいで、一瞬前の気持ちすら私はわからなくなる。


だけど。
健太郎に対しての想いを切ない位に思い出しながら、私の心は樫本先生に揺さぶられる。


――好き、なの?


健太郎に見られて、あんなキスをしておいて。
本当にこの期に及んで。


だけど飲み込まれる。
健太郎を想っていたかもしれないって気持ちが膨れ上がるから、樫本先生への気持ちがますますわからない。
樫本先生という存在が私の根底を惑わしているんだと思うと、やっぱり怖いという気持ちが強まっていく。


想いは寄せられる。心は惑うし、気持ちは揺れる。
私は絡み付く螺旋の中で、逃げ惑うしか出来ない自分に気付く。


あの時の先生は怖かった。


いつも全然掴めない態度に翻弄され続けていたけれど、あの時の、全然雰囲気の違う先生こそが真の姿だと確信する。


言ってる言葉の意味すら良くわからなかった。
だけどその答えを見つけられたら、先生に感じる謎や不安を解明出来るんじゃないか、なんて。


そう思う時点で、私は本当に惑わされているんだと思う。
< 108 / 301 >

この作品をシェア

pagetop