解ける螺旋
健太郎は、私が同じ様に戸惑ってる事を知らない。
健太郎が自分の葛藤を口にした時は、私の記憶の方が混乱した。


「お前と樫本先生が一緒にいるの見た後さ。
……もしかして何かが変わってたら、俺達が付き合う様になってたのかな、なあんて話になったろ?
そんな事はきっとないって否定したのは俺だったのにさ。
……やっぱりイライラするってなんなんだろ。
で、ムシャクシャするから、あれからずっと、調べてたんだ」


健太郎は髪をクシャッと掻き毟ってから、結構あっさり言った。


「調べたって。
そんな事調べて何かわかったの!?」


私はつい乗り出してしまう。


だってこんなの、ただの精神論だと言われたらそれまでだ。
そんな気がする、前にもあった気がする。
全部私にも共通する不思議な感覚だけど、調べたって何もわかる訳がない。


「俺だってまさか記憶や心がコントロールされたなんて、スピリチュアルな事言うつもりはない。
だから言っただろ。ありえないって考えたら、ここから先を考えられなくなる。
だから、ありえる事を前提にしたって」


健太郎の言い含める様な言葉に、私も自分の頭の中を整理してみる。


「記憶や心がコントロールされたって前提で?」

「違う。それは結果。
どうしてそんな気がするのか。
……だから、俺の神経疑われる前に、奈月に確認しておきたい。
奈月にはなかった? そういう変な気分」


健太郎は缶を両手に持って膝の間に挟むように身を屈めると、私を覗き込んで来た。
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