解ける螺旋
私の反応に、愁夜さんは溜め息をついた。
そして着ていた白衣を脱ぐと、私の頭にバサッと被せる。


「着てろ。完全な誘導尋問に簡単に引っ掛かるのもどうかと思うけど、確かにその服だと少し屈めば見えるからね。
まあ、多分嘘だよ。
俺なら見える危険性のある位置になんか付けないから、安心して」

「え? ……嘘?」


愁夜さんの白衣を胸元に抱きしめて、私は愁夜さんと健太郎を交互に見つめた。
健太郎は落ち着き払ってる愁夜さんを睨んでから、大きな溜め息をついた。


「で? 結城君。
今の嘘で君がずっと彼女の胸元を気にして論文に集中してなかったって事もバレちゃったけど。
その辺の言い訳はいいのかな」

「人を変態みたいに言うな。
先生こそ、今の言葉でほとんど認めたようなもんだけど。
……奈月の事好きなの?」

「ちょっと、健太郎! 止めてよ」


健太郎が何を意図してこんな話をしてるのかわからない。
愁夜さんは面白がってるけど、私はこんな話題の中心にされて平然と聞いてられる訳がない。


「好きなんだろ?
だからこの間、俺を牽制するような事言ったんだよな?
そうじゃなきゃ許さないけど。
俺、先生の事なんか胡散臭いと思うし」


健太郎の視線を受け止めながら、愁夜さんは薄く笑みを浮かべている。


「それでなんで俺の妹の話なんか出るのかな。
……相沢さんを盗られた腹いせ?」

「認めるんだ? ……半分はそうかな」

「ふうん」


愁夜さんはずっと笑顔を絶やさない。
そんな態度が、結局愁夜さんの本心を全部隠してしまう。
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