解ける螺旋
びっしょり濡れた身体でドアの前に立つ私を見て、愁夜さんは腕組みをして眉間に皺を寄せていた。
研究室からあんな風に飛び出した私と健太郎に、愁夜さんが警戒してるのは当然だった。
だけどその一方で、私が何を知ってるかを確認しておきたいというジレンマすら伝わって来る様な気がした。
そして私も、私が知った事を切り札にして、先生の目的を聞き出そうと言う策略を頭の中でシミュレーションしている。
お互いに黙ったまま、まるで腹の探り合い。
よく考えたら、私達っていつもこうだと苦笑が漏れてしまう。
本当は、ドアを開けてくれたら、強引にでも押し入ってしまおうかと思っていた。
だけど、さすがにコートからも水滴が落ちる私の姿を考えたら、図々しく他人の家に上がり込む事など出来ず。
かと言って話して解決出来る内容でもなく、私はこれは引くべきか、とも考え始めた。
そして。
「……っ、クシュン」
さっきから少し身体が震えるのを感じてはいた。
健太郎の風邪を気にしてる余裕はなかったかもしれない。
小さくくしゃみをして身体を擦ると、愁夜さんはこれでもかって位に大きな溜め息をついた。
「……入って。
服乾かしたら一人で帰れよ。送ったりしないから」
「え?」
「結城も、奈月がここに来てる事は知ってるんだろう。
風邪ひいて俺のせいにされたら、堪ったもんじゃない。
あの調子じゃ、今度は何仕掛けて来るかわからないからね」
不機嫌な口調だけど、かなり遠回しに私に風邪をひかせたくないって意味にはとれる言葉。
私は黙って頷いて、愁夜さんが身体を退かして空けてくれたスペースから、部屋の中に上がり込んだ。
研究室からあんな風に飛び出した私と健太郎に、愁夜さんが警戒してるのは当然だった。
だけどその一方で、私が何を知ってるかを確認しておきたいというジレンマすら伝わって来る様な気がした。
そして私も、私が知った事を切り札にして、先生の目的を聞き出そうと言う策略を頭の中でシミュレーションしている。
お互いに黙ったまま、まるで腹の探り合い。
よく考えたら、私達っていつもこうだと苦笑が漏れてしまう。
本当は、ドアを開けてくれたら、強引にでも押し入ってしまおうかと思っていた。
だけど、さすがにコートからも水滴が落ちる私の姿を考えたら、図々しく他人の家に上がり込む事など出来ず。
かと言って話して解決出来る内容でもなく、私はこれは引くべきか、とも考え始めた。
そして。
「……っ、クシュン」
さっきから少し身体が震えるのを感じてはいた。
健太郎の風邪を気にしてる余裕はなかったかもしれない。
小さくくしゃみをして身体を擦ると、愁夜さんはこれでもかって位に大きな溜め息をついた。
「……入って。
服乾かしたら一人で帰れよ。送ったりしないから」
「え?」
「結城も、奈月がここに来てる事は知ってるんだろう。
風邪ひいて俺のせいにされたら、堪ったもんじゃない。
あの調子じゃ、今度は何仕掛けて来るかわからないからね」
不機嫌な口調だけど、かなり遠回しに私に風邪をひかせたくないって意味にはとれる言葉。
私は黙って頷いて、愁夜さんが身体を退かして空けてくれたスペースから、部屋の中に上がり込んだ。