解ける螺旋
しばらくの間、この事件は世間を最大限まで賑わせた。


ワイドショーでは私達の学者としての経歴まで紹介しながら、勝手な推論を闘わせる。
何も知らない評論家は、子供を放置して共働きをする夫婦が娘を犠牲にしたと叫んだ。
それでも。
娘を失った私達には、一般的な同情の目が向けられる中。


私も妻も、どうしてこんな事になったのかわからなかった。


ただ――
事実を受け止め切れなかった。


娘を失った悲しみに潰された。


――そうして。


私達は永久に、研究の世界から消え去った。


一度掴んだ成功を無残に打ち壊されて、一番大切だった娘の命を奪われて、何も出来なかった事に憤りを感じた。
そしてそんな負の感情だけを抱いたまま、長年の大事な研究を続けるだけの力も失った。
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