解ける螺旋
そうして初めて、健太郎は、ああ、と呟くと私を振り返った。
「なんでもない。ごめん。
……物騒だから早く帰ろう。
ったく……。せめてさっきのバイク、ナンバーだけでも覚えてられたら良かったのに……」
そう呟く健太郎の横顔を、私は漠然とした不安を抱えながらただ見つめていた。
この広がる違和感はなんだろう。
私の記憶にある事を、一緒に過ごした健太郎が覚えていない。
どうでもいい事なら、そんな事はいくらでもあるかもしれないけど。
私が何度も危険な目に遭って、いつも健太郎が助けてくれた。
それほど大事な事。
私は覚えているのに、健太郎は不思議な顔をする。
だから私は自分の記憶が信じられなくなる。
――私は本当に、何度もこんな危険な目に遭った事があるの……?
健太郎には覚えのない記憶。
それが現実に私の身に起きた事だったのか、それとも続く悪夢で見ただけなのかすら、曖昧になってしまう。
健太郎とは同じ記憶を共有しているはずだと思っていたのに、健太郎がわからないと言えば、それは私の記憶の信憑性を揺るがす。
健太郎には覚えのない記憶なんだと知って、私の不安は増すだけだった。
それなら私のこの記憶は何だろう。
ただの夢を現実と区別が出来なくなっているのか、それとも何かが狂い始めているのか。
説明出来ない現象を、私は健太郎に話す事も出来なかった。
「なんでもない。ごめん。
……物騒だから早く帰ろう。
ったく……。せめてさっきのバイク、ナンバーだけでも覚えてられたら良かったのに……」
そう呟く健太郎の横顔を、私は漠然とした不安を抱えながらただ見つめていた。
この広がる違和感はなんだろう。
私の記憶にある事を、一緒に過ごした健太郎が覚えていない。
どうでもいい事なら、そんな事はいくらでもあるかもしれないけど。
私が何度も危険な目に遭って、いつも健太郎が助けてくれた。
それほど大事な事。
私は覚えているのに、健太郎は不思議な顔をする。
だから私は自分の記憶が信じられなくなる。
――私は本当に、何度もこんな危険な目に遭った事があるの……?
健太郎には覚えのない記憶。
それが現実に私の身に起きた事だったのか、それとも続く悪夢で見ただけなのかすら、曖昧になってしまう。
健太郎とは同じ記憶を共有しているはずだと思っていたのに、健太郎がわからないと言えば、それは私の記憶の信憑性を揺るがす。
健太郎には覚えのない記憶なんだと知って、私の不安は増すだけだった。
それなら私のこの記憶は何だろう。
ただの夢を現実と区別が出来なくなっているのか、それとも何かが狂い始めているのか。
説明出来ない現象を、私は健太郎に話す事も出来なかった。