勿忘草~私を忘れないで~
また、この日がやって来た。
これで、10年が経った。
俺ももう25歳。立派な大人になった。
ちゃんと高校卒業した後、なんとか職も手に入って、充実してる。
「こんにちは」
年に一度だけ行く花屋。
ここは愛生がよく来ていたらしく、写真が沢山飾られている。
「あら成留くん。
ええっと、勿忘草かしら?」
「今年は、ローズマリーも、お願いできますか?」
もうボロボロになって、何が何の花かわからなくなったお守りだって、ちゃんととってある。
丁度10年の今年は、お守りに有ったローズマリーも頼んだ。
お前との思い出も、記憶も、何もとは言えないけど、ちゃんと残ってるから。
そう告げたくて。
追憶ばかりしていてもダメ。
お前の静かな力強さ、そして4人の真実の友情。
言葉で伝えられなかった誠の愛。
花でなら、伝えられる。そう思ったから。