理不尽な女神さま
★―理想と現実―★

意地悪ナ女神サマ




神様は意地悪だ。

望んでもいないことをしてくるくせに、
望んだものは叶えてくれない。

あたしはそんな毎日に満足しない、
加瀬 夏澄。

もう今年で22になる。

周りはそれなりの進路を歩み、
短大に通ったり、社会人になってる。

そんなあたしはと言うと、
バイトを掛け持ちして命を繋ぎとめてる状態。

いわゆるニートってやつ。

決して裕福ではない。

両親はすでに他界。

残された家族は福井の実家にいるおばあちゃんだけ。

別に哀しくはない。

だってあたしは一人じゃないから。

あたしには夢がある。

それはあたしがギター、ボーカルとして所属するバンド、
「スピカ」でデビューすること。

スピカは上京する前から組んでたバンドで、
高校の同級生のベースの真吾、ドラムの尚哉で成立する。

人気はそれなり。

2人ともマジでデビュー目指してる。

テクニックはある。

なのに4年経った今でもデビューにありつけてない。

そう。

神様は意地悪だ。

あたしたちを哀れんでいるだけ。

・・・ううん。

きっと見てくれてもいない。

それでもいい。

あたしは負けない。

神様なんか信じない。

女神様なんかに頼らない。


そう、信じてた――――



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