隼 ASPHODEL-5編
「とにかく、もう理由はいいから治るんだと思ってこのまま進みましょう」

沙耶の言葉に3人は顔を見合わせる。

その時だった。会議室のドアがノックされた。

「誰だ?俺たちがいるの分かってて邪魔すんのは」

守がブツブツ言いながらドアを開けると研究員の姿があった。

「どうした?」

聞くと困惑した様子でおずおずと言った。

「あの、柿崎さんの知り合いだという方が…」

「俺?」

奈美が立ち上がる。
ドアの向こうからひょいと顔を覗かせた金髪の男性が嬉しそうに言った。

「あ、いたいた!迷っちゃったよ~」

「あ~なぃん」

全員が顔を見合わせた。

「もーここは最高にいい被写体がいるね!」
そう言いながらバシャバシャと写真を撮り始める。

沙耶が慌てて止める。

「ちょ、ちょっと!あなた、新しい研究員?」

楽しそうに答えた。

「え?違いますよぉ~」

「え?」

「いい写真撮るから連れてきた」

奈美がひょうひょうと答える。

「なっ、関係者以外立ち入り禁止よ!」

沙耶が怒る。
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