天神学園大新年会

餅は焼くものヤキモチは妬くもの

大晦日の夜。

「もしもし、マーマ?」

アリスカ・テフレチェンコは国際電話で、ロシアの実家に電話する。

「うん、元気してる。学園でも楽しんでるよ。うん…大丈夫、危ない仕事はしてないけれど…今年もそっちには帰れそうにないみたい…うん…エージェントの仕事が忙しくて…」

一通り母親と会話し、電話を切った後。

「ごめん、マーマ!」

携帯を握り締めたまま、アリスカは遠くロシアの母親に詫びた。

エージェントの仕事なんて、ろくすっぽしていない。

もう随分長い間、開店休業状態だ。

本当は航空券さえ購入すれば、すぐにでも故郷に帰れるくらい時間は有り余っている。

しかし彼女は、そうしなかった。

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