小悪魔オンナの愛し方。
めずらしく大声を出してしまった僕に、
鈴木は目を丸くして驚いている。

まずい。取り乱してしまった。


旦那?子供??
なにそれおいしいの?

「嶋、知らなかったのか?
 彼女、結婚してるんだぞ。
 子供も二人いる。上の子は小学校1年生らしいよ。」

「え、そうなの?小1?!ってあの子いくつなの?!」

もう僕の演技は完全に崩壊してしまった。
俳優だったら失格だな。
まあいいか、しがないサラリーマンだし。

「びっくりするよな。子持ちには見えない。
 俺の一つ下だから、27歳だよ、たしか。」

「えー!時期はずれの新卒かと・・・」

それ以上の言葉が出てこない僕を、
鈴木はにやけ顔で見ている。

「ショックなのか?好みだった?」

世界で一番腹の立つ顔だ。


「いや、若く見えるね。びっくりした」
平静を取り戻そうとサラリーマン俳優は頑張る。

「だよな。お前には景子ちゃんがいるし。」
つまらなそうに鈴木は答えた。


普段は味のしないラーメンが、
やけにしょっぱく感じた。










< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop