Alien執筆言い訳日記(ブログ的な何か)
11月18日 ヴィクトルについての一考察



『空っぽの勝利者』

愛されることと賞賛をひたすら求めていた人間が
欲しかったものをすべて手に入れて
もうそれに飽きてしまったと
気づいた時にふと思った
どこかに愛されたい誰かが自分を待っていて
この鍵でないと開かないドアを
泣きながら叩いている、と

誰かが助けを求めている

妄想の中で膨らんだ期待は
自分自身の救いのため
だってもう燃え尽きていたのだから
だが燃え尽きたことに気づかない僕を救うために
君は本当に存在していて、そして大声で叫んでいた
「ここにいる! ここに!」と

君が氷漬けで寒くて凍えて震えていたのは確かだ
だがそれも役に立つんだ、僕だけに
なんせ僕は震えることすら出来ない
それが燃え尽きるってことだ
だけど僕は
死にかけているのを自分でわからないから
君は悲痛な叫び声を暗闇に響かせて
僕を待っている

憧れて憧れて自分を捨て去った君は
無一物の美しい折れた狂人だった
悲しさと虚しさ、だがそれは君の僕への愛だ
わかっている、僕を救うために君は敗残者を選んだ
賭けてもいい、君を愛するために僕は飽食した!

一番美味しいものに飽きたんだ
僕はもう食べないだろう
そして僕は僕の指で食べさせる
君の麗しいその唇を甘い蜜で濡らして






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