3年分のキス
「ねぇ、蓮」
そうわたしが呼びかけると
ん?と優しい微笑みを彼はわたしに向ける。
「今日わたし、ずっとキッチンにいてもいいかな」
確か彼は、わたしも今日は挨拶か何かをしなきゃいけないって言ってた。
できることなら今は、人前に出ることは避けたかった。
ましてや、たかおちゃんが中にいる群衆の前で話すなんて。
そんなこととてもできそうになかった。
彼と会わないようにするための、せめてもの方法だった。
「そう、だね。また気分悪くなったらだめだしね」
ぽん、と彼はわたしの頭を撫でて言った。