3年分のキス
「あ、っちです…」
顔は彼のほうに向けないまま、指だけをトイレの方向に指した。
これ以上声を出すと、泣きそうなのがばれてしまいそうだった。
「おお、さんきゅ」
優しい声だった。
あの頃みたいな。
彼の足音が離れていく。
完全に、彼の足音が聞こえなくなった瞬間、
涙が、嗚咽ともに溢れ出てきた。
「うっ…うえぇぇ」
思わず膝から崩れ落ちて、手で顔を覆った。
息をすることもままならぬまま、心臓の鼓動を感じていた。