3年分のキス





たかおちゃんは一瞬戸惑ったような顔をしたけど、
会場のほうから聞こえた歓声にふっと目を向けた。

そしてまた彼はわたしのほうに顔を向けて笑った。




「そろそろ行かなきゃな」




手は頭を掻きながら、照れくさそうに。

もう行っちゃう。でも仕方ない。
これでまた、もう二度と会えなくなるのかな。

いいよね、ここでまた会えたし。
またどこかで会えるって信じれば。


彼が去ったら、また元の気持ちに戻ろう―――。




「じゃーね」




にこ、っと笑って彼は、手を振りながらキッチンを出て行った。





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