CHAIN
結局その日の内に、
都に着く事は出来なかった。

夜中にそこから少し離れた
小さな町の外れに着いた私達は、
そこで会った心優しいおじさんに、
一晩泊めてもらう事にした。

「アレキサンドリアへ、ようこそ!
 東洋の客人よ。」

おじさんは笑って言った。
「沢山歩いたそうじゃねぇか。
 沢山食べて、ゆっくり休みな!」

おじさんが言うには、
沢山の異国の学者や使者が、
文化や知識を学ぼうと
この地を訪れていて、
私達のような異国の衣装に
身を包んだ人々で、
都はとても賑わっているらしい。

私達が宛がわれたのは、
小さな窓のある部屋だった。
 
ふかふかな藁の上に
布を被せたベッドが二つ。
姉妹で一つずつ使い、
兄弟は床で寝る事になった。

静かすぎる月夜……
私は楓の寝顔を見ながら
眠れずに起き上がった。
 
凛は部屋の隅で丸くなっている。
私は凛にそっと布をかけると、
横になって目を閉じた。
< 18 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop