雨と傘と
「でも、今まで通り学校では俺と付き合っていることにしておくよ。色々めんどくさいから。」

そう言う兄貴の表情は穏やかで、

「でも、登下校は三人で。」

計算高く、状況を判断していた。


兄貴と付き合い始めたばかりで、俺と二股なんて周りにバレたら、幸葉は悪者にしかなれない。ましてや、野球部のエースである兄貴はモテるから、彼女がいるということにしておいたほうが良い。



「これから、よろしくね。」


そう言って笑顔で帰っていった幸葉。



「なあ、朔人…」

「あ…?何、兄貴。」

「お前…幸葉とキスした?」

うっ…なんでバレた?鋭い兄貴の眼光に、思わず視線を泳がせる。

「し、た。」

「そうか…それなら、俺も遠慮しないから。」

「もしかして、まだしてなかったのか…?」

「…。」

無言は肯定。ファーストキスは、俺が貰ったらしい…
嬉しいけど…初めてなのに、ディープキスをしてしまった…しまったな。


キスは、いいとして…付き合いが深まって、身体の関係を持つとしたら?





兄貴はそのまま無言で部屋を出て行った。

もしかしたら、俺と同じことを考えていたのかもしれない。





3P…?






自分の卑猥さに寒気がした。
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