雨と傘と
月曜日の朝は、約束通りに春にいと朔ちゃん二人が迎えに来てくれた。三人で向かう学校は初めてで、とても新鮮に思えたし、同時に懐かしく思った。小学校の頃は毎日一緒だったから。

二人に挟まれると、安心するけど…距離が近いから少しドキドキする。

二人を交互に見上げて、幸せを噛みしめる。やっぱりこんなに素敵な二人の傍を離れるなんてできないよ。永遠なんて望まないから。今だけは、このまま幸せに溺れてしまいたい…



「幸葉、また昼休みに。」

いつもどおりに髪にキスを落として春にいは去っていく。

「ねぇ朔ちゃん。春にい、また昼休みに来てくれるんだね。」

「そうだな…しばらく来なかったもんな。」

「うん。また景さんと一緒に来てくれれば、小峰が喜ぶよ。」

「…小峰さん、景さんが好きなのか?」

「そうだよ。景先輩の大ファン!」

にっこり笑ってそう言えば、朔ちゃんの手が頭をぽんぽんしてくれる。苦笑いをしながら、

「あの人は、手強いと思う。」

と言うから、

「小峰も、かなりの曲者と思うけど?」

豪快な裏の繊細さを私は知っている。

「確かに。単体でも敵わないのに…二人が付き合いだしたら、本当に恐ろしいかもな。」

「ふふ。確かに!隠し事なんて、できないよね。」

その言葉に、表情を引き締めた朔ちゃんは慎重に言葉を選ぶ。

「幸葉は、小峰さんに俺たちのコト言うつもりか?」

「…うん。小峰はこんな私でも受け入れてくれると思うから。」

「そうか…」

難しい顔をして、朔ちゃんは教室に入っていった。

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