契約恋愛~思い出に溺れて~
少しきつめな彼の口調。
いつも、強く自分の主張を言うようで、最後の判断は必ず私にさせる。
「……信じてます」
そう言った私に、ようやく優しい笑顔を向けてくれた。
「じゃあ、今日はごめん。また今度ゆっくりね。電話するよ」
「うん。達雄の事も心配だから、後で教えてね」
「ああ。じゃあまたね」
目覚めない紗優を抱きかかえたまま、私は彼を見送った。
「信じてるから」
もう一言。
それは自分に言い聞かせるように。
彼とこの先を歩くために、それは必要な事だと思うから。