契約恋愛~思い出に溺れて~


ズルイとは思う。

だけどやめられない。

今自分を抱いている別の人に、ユウを重ね続ける。


言葉もなく、ただアルコールの匂いと、吐息だけが部屋中を満たしていく。


「はぁ……アヤ」


突然にこぼれた、熱のこもった彼の声を耳にして、私はどこかで安心した。

彼が抱いているのは、私じゃない。
彼の大事な『アヤ』ちゃん。


私たちは、同じ過ちを犯している。
だからこれは、『裏切り』じゃない。『契約』だ。

ただ、体を翻弄する感触だけを、共有し合っているだけ。


体が熱を持つのも、汗ばんだ体を抱きしめるのも、もう随分久しぶりのことで、
私はユウを想い浮かべながらもそれに溺れた。


あなたは、私を責めるだろうか。

許さないと、思うのならば叱りにきて。


なんでもいいから、もう一度姿を見せて。

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