契約恋愛~思い出に溺れて~


考えても出ない答えに、自然に溜息がこぼれた。

するとベッドの下の床で寝がえりを打つ音が聞こえた。


「……英治くん、起きてるの?」


小さな声で呟くと、彼がもう一度寝がえりを打った。


「起きてるよ」

「そう」

「紗彩も、寝ないと」

「うん」


それから沈黙が数分。
だけれども、聞こえてくるのは寝息ではない。

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