僕は生徒に恋をした
「一人になったときはどうなるかと思った」

山田が花火を見ながらつぶやく。

「ありがと」

素直に言われると照れる。

今、彼女を背負っていて助かった。
こんな赤くなった顔は見せられない。
間違いなく、俺の気持ちがばれてしまう。

気が付けば辺りは静まり返っていた。

花火は終わり、祭りも終わる。
そして明日から夏休みが始まる。

言え部活や夏季講習で高校には顔を出すとは言え、山田と会うのは休み明けか。

ほどなく山田の家に着く。
こうして彼女を送っていくのはもう三度目だ。

初めのときより、俺たちの距離は少しでも縮まっただろうか。
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