僕は生徒に恋をした
山田は俺がいじけたと思ったようで、必死にフォローしようとする。

俺の言葉に一喜一憂する山田がかわいくてたまらない。

確か俺にはSっ気はなかったはずなんだけど。

「本当はね」

不意に山田がつぶやいた。

「本当は、もし万が一先生が買いに来てくれたら、そのときに店にいたかったの」

「え…?」

「だから休憩に行きそびれちゃっただけなんだ」

そんなことを言うのはずるい。

「でも深い意味はないから安心して。
会えたらいいなって勝手に思ってただけだし」

山田が俺に気を遣わせまいと、早口でまくし立てるのが余計に辛い。

もういいよ、山田。

「迷惑かけるつもりはないの。
諦めなきゃいけないって分かってるし…」

もういい、黙ってくれ。
もう限界だ。

「先生のこと忘れるのはまだ時間がかかりそうだけど―――」

次の瞬間、山田が言葉を失った。

それもそのはずだ。
俺が思わず彼女を抱きしめていたんだから。
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