僕は生徒に恋をした
ジャージに着替えて体育館に顔を出すと、いつもの風景があった。

「佐々ちゃん遅いよ」

「悪い」

部員たちに声を掛けて練習に入る。

「これ、山田が返しておいてってさっき持ってきた」

山田と同じクラスの武内からタオルとさっき貸したジャケットを受け取った。

「ああ、ありがとう」

「山田って、山田雛?」

俺たちの会話に、他の部員が入ってきた。

「武内、山田のこと気に入ってんだよな」

「気に入ってるって。
別に俺だけじゃねぇだろ」

武内は照れて友達の宮下を叩く。

「お前だってかわいいって言ってたくせに」

生徒とはいえ、他の男から山田の評価を聞くのは初めてだった。
< 81 / 374 >

この作品をシェア

pagetop