灰色のマハ--The Lord of soldiers--

紅旗の使者

**紅旗の使者**


「・・・で、結局なんなんだ?“こうきのししゃ”って。」




夜。

城の自室で、ガルンは相変わらずむくれていた。




「知らない。“こうき”は紅い旗っていう意味しか教えてもらえなかった。」




暖炉がパチパチといかにも暖かな音色を奏でている。
そこへ、パキンパキンと小枝を折る音で合いの手を入れているのは、幼なじみの少年・ルーだ。



ふたりは毛皮の敷物の上に並んで座り、温めたヤギ乳をすすっていた。




「紅い旗、ね・・・。紅の国旗か、国章ってことか?
この辺りにそんな国があったか?」




さして深刻に考えていなさそうに首をかしげるルーからぷいと目をそむけて、ガルンはミルクに映り込む自分をにらみつけた。




「・・・そんなの分かるわけないじゃない。」


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