2 in 1
1st SEASON
爽やかな朝だった。カーテンが開いている窓から日差しが垂直に差し込んでいた。でもまだ冬だ。寒い…。宇美はなかなか布団から出られなかった。
「あと、10分くらい寝られる。」
目覚まし時計をうっすらと開けた片目で見た。瞼が重い。
「うみぃー、時間じゃないのー?」
「あっ。」
公の声で跳び起きた。
「ヤバイ、寝過ごした!」目覚まし時計はあれからとっくに30分進んでいた。
「やっぱり二度寝はマズイな。」
宇美は慌てて制服に着替えた。
「男でよかった。」
宇美はこの時ばかりはいつも思った。布団を畳んで急いでトイレを済ませた。
「学校、大丈夫?遅刻じゃないの?」
母親の公がリビングで叫んでいた。宇美はそれを右から左に聞き流して顔を洗った。
「行ってきまーす。」
家を飛び出した。階段をドタドタ駆け降りた。宇美は朝食は食べない。それはいつものことだ。宇美にとって食べることより、睡眠の方が大事だった。
北風が冷たい。頬が切れそうだった。耳もちぎれそうなくらい痛い。宇美は北風に逆らうように全力で自転車をこいだ。こうして今日も一日が始まった。
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