2 in 1

交際

進学しても“海”と“一”のマイミク交際は順調に続いていた。“一”はプライベートなことを一切日記に書かなかった。結局誰かわからないまま進学してしまった。もしかしたら別々のクラスになったのかもしれない。いつまでもお互いに学校の話ばかりで何か物足りなかった。そろそろ学校ネタも飽きてきた。もっと深く関わりたいと思った。“海”は“一”のことを全く知らなかった。わかっているのは同じクラスだったことだけ。どうやら部活には入っていないようだった。きっと“一”も思っているはずだ。僕はまるでスパイのようだった。日記を通してわかったことは、二人の価値観は似ているということだった。知ってはいけないと思うほど、知りたくなった。この間まで毎日会っていた31分の1の誰かなのだ。“一”は誰かの悪口を一切書かなかった。“海”が誰かのことを書いた時、優しく忠告してくれた。
「海さん、人の悪口は良くないよ。悪口を言っている人って、きっと他の誰かに言われているのだよ。人の悪口を言っている表情ほど醜いものはない。人は誰でも欠点があるのだ。なるべく良いところを見つけていきましょう。」
“一”は“海”の話にのらず、あくまでも第3者的に見守る形をとっていた。そんな“一”に“海”は平等で大人な印象を受けた。“海”は一時期“一”をじれったく思ったりもしたが、しだいに好意を抱くようになっていた。その後のやり取りで、“一”は“海”と違うクラスになったことが判明した。ある時、“海”は
「何故、他の人とマイミクにならないの?」
と聞いてみた。そうしたら「マイミクになったら、みんなにコメントしたくなってしまうから。忙しくてコメントできないとその人に申し訳ないから。」
とのことだった。真面目だなぁって思った。“海”はさらに“一”に夢中になった。
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